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検出器多連装型軌道放射光粉末回折計 MDS (Multiple Detector System) は, 2Θ 軸上に 25°間隔で配置された検出器系を6系統備えた粉末回折計であり, 1994 年に虎谷(現リガクX線研究所長)らが世界で初めて開発した独自のデザインによるものです。
最近では国内外の軌道放射光施設でこのデザインを模倣した回折計の設置が試みられるようになっています。
[ドイツ放射光施設 HASYLAB/DESY, DORIS III, B2(ドイツ)(2001年)]
[欧州放射光施設 ESRF, ID31(フランス) (2004年)]
[浦項加速器研究所 Pohang Accelerator Laboratory, 8C2(韓国)]
[SPring-8, BL08B2(日本) (2006年)]
[アルゴンヌ国立研究所 APS, BL-11BM-B(米国)]
このデザインは, 基本的には設計者の綿密な検討の結果から必然的に導き出されたものと思われますが, 設計者の意図以上にうまく機能している面もあるかもしれません。
筆者はこの回折計の性能評価や光学系の調整,実際的な使用経験を重ね, さらにデータ解析のための実用的なソフトウェアを開発してきました。 装置や測定制御系の細かい点では改良の余地がある一方で, 基本的なデザインが極めてリーズナブルであることを強く実感させられています。
この回折計の特徴について筆者が理解していることを,以下の項目ごとに別のページに記述します。
内容
改訂2008年2月28日
名古屋工業大学
セラミックス基盤工学研究センター
解析システム研究グループ
井田 隆
ida.takashi@nitech.ac.jp
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