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2.7.2 ダイナミック・メモリ dynamic memory

ダイナミック・メモリ素子は,キャパシタ(コンデンサ)に静電気をためることでデータを記憶します。 キャパシタの構造は,図 2.25 のように2枚の金属板を向い合せに近づけて配置したものです。


図 2.25 キャパシタ (コンデンサ) の構造 (左) と回路記号 (右)

このキャパシタとダイオード,抵抗を図 2.26 のように組み合わせれば,これがダイナミック・メモリ回路として働きます。 キャパシタに電荷がたまっているかどうかで 1 か 0 の値が表されます。


図 2.26 ダイナミック・メモリ回路。通常は A=1 (例えば +5 V), B=0 (0 V) とする。

ダイナミック・メモリ回路の入力信号は,通常は例えば A=+5 V, B=0 V という状態にしておきます。 このまま長い間ほうっておけば, C=+2.5 V になるはずです。

ダイナミック・メモリに「0」という値を書き込むには,B=0 を保ちながら A=0 とします。 キャパシタから A へ電流が流れることにより放電して,C=0 という状態になります (図 2.27)。


図 2.27 ダイナミック・メモリ回路に 0 を書き込む。
A を 1 から 0 に変化させれば,矢印の向きに電流が流れて $C=0$ となる。

この後に A=1 に戻しても,A から C の方向へは電流が流れにくいので,C=+2.5 V という状態にまで戻るには時間がかかります。 つまり,しばらくは「0」という値を憶えていることになります (図 2.28)。


図 2.28 ダイナミック・メモリ回路は 0 という値を憶えている。
A を 0 から 1 に戻しても,矢印の向きには電流が流れにくいので,しばらくは C=0 のままである。

ダイナミック・メモリ回路に「1」という値を書き込むには,A=1 を保ちながら B=1 とします。 このとき,B から電流が流れ込んでキャパシタに電荷が蓄えられ C=1 という状態になります (図 2.29)。


図 2.29 ダイナミック・メモリ回路に 1 を書き込む。
B を 0 から 1 に変化させれば,矢印の向きに電流が流れて C=1 となる。

この後に B=0 という状態に戻しても C から B の方向へは電流が流れにくいので, C=1 という状態がしばらくは保持されます (図 2.30)。


図 2.30 ダイナミック・メモリ回路は 1 という値を憶えている。
B を 1 から 0 に戻しても,矢印の向きには電流が流れにくいので,しばらくは C=1 のままである。

ただし,通常の A=1, B=0 の状態でも,キャパシタは少しずつ放電してしまいます。 そこで,データを書き込んで一定の時間が経過したら,一度 C の値を読み込んで, もう一度書き込み直すという動作 (リフレッシュ refresh 動作) が必要になります。 ふつうのメモリ素子では 1 秒間に数万回くらい (数十 μs に一回) リフレッシュ動作をしているそうです。


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2004-04-17