数値微分
Numerical differential

名古屋工業大学
先進セラミックス研究センター
井田 隆

名古屋工業大学 環境材料工学科 3 年次授業「マテリアルデザイン」の講義ノートです。

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第1部 コンピュータの基礎
Fundamentals about Computer

第4章 数値計算
Numerical calculation

4−3 数値微分
Numerical differential

数値微分は,微分の定義式:

f ′(x) = f(x + h) − f(x)
lim
h
h → 0

に数値をあてはめて微分を計算する方法です。

たとえば,以下のような問題を考えてみてください。

【問題】

関数 f(x) = 2x について,f ′(3) の値を求めなさい。

高校までの数学で教わった通りにすると,以下のような計算をすることになるでしょう。

【高校数学での解き方】

まず f(x) = 2x = exp(x ln 2) と書き直して,

合成関数の微分の公式から

f ′(x) = (ln 2) exp(x ln 2) = 2x ln 2

となるので,この式に x = 3 を代入すれば,

f ′(3) = 23 ln 2 = 5.545177 444479 5…

となる。

しかし,コンピュータ(関数電卓)を使えるのなら,微分の定義式をそのまま使って計算ができます。たとえば,以下のような計算をします。

【数値微分を使った解き方】

h = 0.0000001 として,

f(3+h)−f(3)
h
= 23.0000001−23
0.0000001
= 5.545177 614862 9…

この例では7桁目まで正しい数値が計算できています。

この例はまだ簡単な方ですが,関数がもっと複雑な場合には,数値微分を使うことにすれば式の上では微分を解かなくても良いので,ずっと楽になる場合が多いのです。


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2005年10月26日公開
2013年5月2日更新