ド・モルガンの法則
De Morgan’s law

名古屋工業大学
先進セラミックス研究センター
井田 隆

名古屋工業大学 環境材料工学科 3 年次授業「マテリアルデザイン」の講義ノートです。

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第1部 コンピュータの基礎
Fundamentals about computer

第1章 論理演算
Logical operations

1−2 ド・モルガンの法則
De Morgan’s law

法則というほどおおげさなことではないと思いますが,

AB = AB
 

AB = AB
 

という二つの関係のことをド・モルガンの法則と言います。「論理積の否定は否定の論理和と等しく,論理和の否定は否定の論理積に等しい」という関係です。

前節の「論理演算の規則」 から簡単に導くことができますが,実際に論理演算の中で良く出てくるのでド・モルガンの法則と呼んで使うことにします。

ド・モルガンの法則から,以下の関係も導かれます。

A ∧ B =  A ∨B
 

A ∨ B =  A ∧B
 

規則から

0  = 0

1  = 1

だから,一般的に

X  = X

と書けることを確認しておいてください。

この法則に何か意味を持たせたければ,たとえば次のような記述を想像してみたら良いでしょう。「Q 君がタワケでもないしアホでもないということはない」この記述は,「Q 君はタワケであるかアホであるかのどちらかである」と同じことを言おうとしています。 「A ならば B」という命題(論理包含)が否定と論理和の組み合わせ「(A でない) または B」と等価だということも理解しにくいことですが,上の記述が「Q 君はタワケでなければアホである」と言い換えられることに対応します。

さて,どうして当たり前のことにわざわざ「ド・モルガンの法則」と名前を付けて呼ぶことが多いのでしょうか?

これはコンピュータや周辺回路をデザインしたり作る人にとって,(あたりまえなことだとしても)この言葉の示す内容が非常に便利で役に立ち,頻繁に用いられるからです。現実の論理演算は電子回路を使って実現されています。ド・モルガンの法則の意味する内容を利用すれば,必要な機能を実現するための素子の種類や数,配線の本数を減らすことができて,回路の動作を速くしたり,製造コストを下げたり,信頼性を向上させたり,資源やエネルギーの消費を抑えられるからなのです。


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2011年4月17日公開
2013年4月5日更新