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2.2 半導体による電子回路 electronic circuits with semiconductors

半導体とよばれる物質を使って,前の節で説明した真空管とほとんど同じはたらきをする素子を作ることができます。たとえば P 型半導体と N 型半導体という2種類の半導体くっつけると,P 型から N 型には電流が流れやすいけれど N 型から P 型へは電流が流れにくいという性質を示します。

これは先の話に出てきた真空管のダイオードと同じはたらきをするだけでなく,安価で小型化も容易だという利点を持っています。そこでこのような素子を半導体ダイオードと呼ぶことになりました。

でも,このような素子ができてしまうと,真空管のダイオードを使うメリットはほとんどありません。ダイオードというと本来は真空管のダイオードという意味だったのに,今ではダイオードと言えば,この半導体ダイオードのことを意味するようになってしまいました。

また,N 型の二つの半導体の間に薄い P 型の半導体の層をはさんだり,あるいは P 型の二つの半導体の間に薄い N 型の半導体の層をはさんだものをこしらえると,三極管と同じはたらきをするものができます。これをトランジスタと呼び,やはり多くの用途で三極管よりも便利です。

結局,ほとんどの用途で,真空管をダイオードやトランジスタなどの半導体素子に置き換えることができるようになって,真空管を使うメリットはほとんどなくなってしまいました。そこで,半導体素子を使った回路という意味でも電子回路という言葉が使われるようになったのだと思います。けれど,そういう歴史的な背景があることを知らなければ「電子回路」という言葉自体に違和感を覚える人も多いのではないでしょうか?真空管だと見た目でいかにも「電子が飛んでる」ように見えるのですが,半導体だとちょっとイメージしにくいですよね。


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2004-04-17