全加算器
Full adder

名古屋工業大学
先進セラミックス研究センター
井田 隆

名古屋工業大学 環境材料工学科 3 年次授業「マテリアルデザイン」の講義ノートです。

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第1部 コンピュータの基礎
Fundamentals about computer

第3章 算術演算
Arithmetic operation

3−2 電子回路による加算
Addition with electronic circuits

3−2−2 全加算器
Full adder

任意の桁数の加算回路について考えます。 足し合わせる2つの数が両方とも2進数で N 桁だとします。 つまり,2つの数 A, B がそれぞれ,

AN−1AN−2AjA1A0
 

BN−1BN−2BjB1B0
 

のように表されるとします。 これらを足し合わせた数 Y は,最大で N+1 桁になります。 この数を

YNYN−1YjY1Y0
 

と書くことにします。 足し算の結果の 2j の桁の数字 Yj は,AjBj,それと一つ下の位 2j−1 の桁からの繰り上がり carryキャリー があるかどうかによって決まります。 2j の桁の入力を A, B, 2j−1 の桁からの繰り上がりを C,2j の桁の出力を Y0 ,2j の桁の繰り上がりを Y1 と表すことにします。 この場合,各桁について以下の表 3.2 で表されるような「3入力1ビット加算演算」を実現できる回路を使えば良いことがわかります。

表 3.2
3入力1ビット加算回路の入力 AB, C と出力 Y0Y1 の関係
ABCY1Y0
00000
00101
01001
01110
10001
10110
11010
11111

「2入力1ビット足し算回路」を図 3.2 の記号で表すことにすれば,これを使って「3入力1ビット足し算回路」を図 3.3 のように組み立てることができます。この回路のことは全加算器 full adderフル・アダー と呼ばれます。


図 3.3
「3入力1ビット加算回路」(全加算器)。 半加算器2つと論理和回路で実現できる。


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2005年9月6日公開
2013年4月16日更新