名古屋工業大学
先進セラミックス研究センター
井田 隆
名古屋工業大学 環境材料工学科 3 年次授業「マテリアルデザイン」の講義ノートです。
2−1 スタティック・メモリ
2−2 ダイナミック・メモリ
コンピュータはどのようにものを憶えているのでしょうか?磁気ディスクや光ディスクにデータを保存する使い方の場合に,電源を入れていない間どのように情報が保持されているかは想像しやすいでしょう。これらの記録装置は「補助記憶装置」と呼ばれます。昔は紙テープやパンチカード,磁気テープなどが補助記憶装置として使われていました。
しかし,データをディスクから読み込んだとしても,主な処理をして次に書き込むまでの間はデータは電子回路に記憶されています。また,コンピュータの中の処理装置(プロセッサ)の動作を指定する一連の指令(コマンド)はコードと呼ばれ,これも電子回路に記憶されます。データやコードを記憶しておくための電子回路をメモリと呼びます。
原理的には,電子回路によるメモリ素子が無くても動作するコンピュータを作ることが可能ですが,一般的には補助記憶装置を使ったデータの読み書きよりメモリ素子を用いたデータの読み書きの方がずっと高速であり,実際上メモリ素子はコンピュータにとって必要不可欠な部品です。
ふつうに使われるメモリ素子には static memory と dynamic memory の2種類あります。 これら2種類のメモリ素子は全然違うしくみになっています。詳しいしくみは後述します。これらのメモリ素子の特徴を比較すると表 2.1 のようになります。
素子の 種類 |
読み書き の速さ |
構造の 複雑さ |
高集積 密度化 |
単価 |
---|---|---|---|---|
スタティック | 高速 | やや複雑 | やや困難 | やや高価 |
ダイナミック | やや低速 | 単純 | 容易 | 安価 |
2011年4月17日公開
2013年4月5日更新