当研究室では、セラミックス・複合材等の材料創製に必要な粉体プロセスにおける単位操作の連鎖解明と、その手段及びそれらを応用した新規材料開発に関する研究を行っています。
中空粒子はシェルと内部の空洞からなる構造を有し、断熱性、絶縁性など様々な特性を持っています。我々は無機粒子テンプレート法を用いたナノサイズ中空粒子合成技術を開発し、ナノサイズ中空粒子が持つ特異な特性を見出しました。これらの知見、技術は、バレーボール滑り止めコーティングや透明超断熱フィルムなど機能性部材として応用、実用化されています。
セラミックス成形体中に気孔を多数形成させることにより、新たな機能を発現させ、付加価値のある製品を創り出すことができます。気孔の量や大きさ、分布により、得られる特性や機能も多岐にわたり、例えば軽量性、断熱性、吸音性、防振性、耐衝撃性といったマクロ的特性から、選択吸着能、イオン交換能、選択ろ過能、選択分離能などミクロ的機能の付与が可能です。我々はゲル化反応を利用したゲルキャスティング法を用いて、セラミックスの均質化及び構造制御を図り、断熱性・吸音性・保水性等の様々な特性を持った多孔質建材の作製や、導電性セラミックスなどの機能性材料の開発に取り組んでいます。
セラミックスは製造の際に高温かつ長時間の焼成が必要であり、単位製品あたりの消費エネルギーが他材料と比べ非常に大きく、製造に伴うCO2等の温室効果ガスの排出は多大であることが知られています。我々はメカノケミカル(粒子摩砕)により表面を活性化した粒子は化学反応性が高いことを利用し、アルカリ等の溶媒と混合し表面層を溶出、溶解させ、これを残粒子間で再析出、固化させることにより、焼くことなく焼成セラミックス類似の固体(無焼成セラミックス)を得る技術の開発に成功しました。成形法や材料種にもよりますが、通常の陶磁器を上回るような機械強度も可能であり、新しいセラミックス製造プロセスとして注目されています。
近年、地球環境保全に対する社会的気運が高まり,セラミックス製造における革新的低環境負荷技術の開発が急務となっています。我々は、セラミックス製造プロセスにおける省エネルギー化、プロセス時間の短縮化、温室効果ガスの排出量低減化の観点から、マイクロ波技術に着目し、マイクロ波により生じる電磁場環境の特異な反応場を、セラミックス製造プロセスに有効利用する技術の開発を進めています。マイクロ波加熱時におけるセラミックス粉体界面での反応促進現象を利用したバインダーレス成形プロセスの開発や、マイクロ波吸収選択性を利用したセラミックス厚物成形体の急速均一乾燥手法の開発、ゲル化反応促進効果によるゲルキャスティング法の実用化技術への発展等、これまでにない新しいコンセプトによるセラミックスプロセスの研究開発に取り組んでいます。
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