井田 隆教育/プレ卒業研究

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2010年度テーマ:「構造シミュレーション」

環境材料工学科材料機能プログラムの3年の学生を対象とした演習です。

以下の手順で演習を進めることを予定しています。

1.学内公衆無線 LAN への接続

各自のパソコンを,名古屋工業大学の公衆無線 LAN に接続します。
インターネットで情報や公開ソフトウェアを入手,更新できる環境を整えます。

2.無料表計算ソフトウェアのインストール

インターネットを介して,無料ソフトウェアである Open Office (Windows/Macintosh) をダウンロードし,自分のパソコンにインストールします。表計算ソフト Office Calc を使います。

3.グラフ描画の演習

Office Calc でのデータの作成,保存,読み込みなどの基本的な操作の練習をします。 数式入力の機能を用いて,簡単な関数の描画を行います。

4.マクロ言語によるプログラミング(1)

Office Calc に付属する Basic 言語により,誤差関数 erf(x),誤差補関数 erfc(x),逆誤差関数 erfi(x),逆誤差補関数 erfci(x) を実装し,描画を行います。

5.原子間ポテンシャルの作成

いくつかのイオンについて,公開されている電子密度分布のデータを入手します。電子密度分布のデータからイオンの間に働く反発力を計算します。
参考資料:原子散乱因子の近似形式からの原子間ポテンシャルの計算

6.プログラミング(2)原子間ポテンシャルのモデル化

最適化計算のライブラリを利用,あるいはプログラムを自作して, 原子間ポテンシャルを簡単な式で計算するためのモデル化を行います。

7.プログラミング(3)マーデルング計算の実装

マーデルング計算のライブラリを利用,あるいはプログラムを自作して, 格子和エネルギー計算のプログラムを制作します。

8.プログラミング(4)格子和計算

簡単なイオン性結晶の安定な構造を導きます。

9.圧縮率の導出


Open Calc 用データ

Na+-Cl-AtomPotNaCl2.ods (2010年12月15日更新)

格子和計算:LatticeSum.ods (2008年11月05日更新)

OpenOffice BASIC ソースコード - 原子間ポテンシャル計算用

原子間ポテンシャル計算:CalcPotential2.bas(2010年12月15日更新)

最小二乗あてはめ計算:CurveFit2.bas (2009年11月12日更新)

ガウスジョルダンの掃出し法:GaussJordan.bas

誤差関数:ErrorFunction.bas

OpenOffice BASIC ソースコード - 格子和計算用

反発力計算:Repulsive.bas


実習受講者

2010年10月7日

石原優也 (3年生)

須原裕樹 (3年生)

藤田佑介 (3年生)

原子散乱因子

近似形式

f(K)=a1exp(-b1K2/4)+...+a4exp(-b4K2/4)+c

Na+, K+, F-, Cl- のパラメータ

Na+K+F-Cl-
a13.256508.290383.6322018.2915
b12.6671012.99485.277560.006600
a23.936207.417173.510577.20840
b26.115300.78054114.73531.17170
a31.399806.403321.260646.53370
b30.2001000.001256050.44225819.5424
a41.003200.8314080.9407062.33860
b414.039037.89647.343760.4486
c0.404000-4.942280.653396-16.378

※International Tables for Crystallography Vol.C による。K+ のパラメータは bi > 0 となるように調整した値

進んだ近似形式

f(K)=a1exp(-b1K2/4)+...+a5exp(-b5K2/4)+c

パラメータファイル: asfdc.txt

ハロゲン化アルカリの格子定数,0 K に外挿した値

[C. R. A. Catlow, K. M. diller and M. J. Norgett, "Interionic potentials for alkali halides", J. Phys. C: Solid State Phys., 10, 1395-1412 (1977).] による。

FClBrI
Li3.9925.0785.4265.902
Na4.5905.5785.9086.388
K5.2966.2326.5246.978
Rb5.5786.5186.8207.256
Cs(保留)(保留)(保留)(保留)

例えば NaCl の場合, Na+ - Cl- 間の最短距離が 2.789Å,第二最短距離が 2.789*sqrt(3)=4.8307Åであること, Na+ - Na+ および Cl- - Cl- 間の最短距離が 2.789*sqrt(2) = 3.944 Å,第二最短距離が 2.789*2 = 5.578Åであることから,少なくともこれらの値を含む範囲でポテンシャルの計算を行う。

ハロゲン化アルカリの格子定数の最適化計算結果

2008年12月11日

物質実測値(Å)計算による最適値(Å)計算と実測の差(Å)担当
NaCl5.641)5.44-0.20
NaF4.632)岡本
KF5.303)5.29-0.01杉本
KCl6.294)6.04-0.19高橋

1) Nickels, J. E, Fineman, M. A. & Wallace, W. E. (1948). J. Phys. Chem., 53, 625-628.

2) Deshpande, V. P. (1961). Acta Cryst., 14, 794-794.

3) Broch, E., Oftedal, I. & Pabst, A. (1929). Zeitschrift fuer Physikalische Chemie, Abteilung B: Chemie der Elementarprozesse, Aufbau der Matere, 3, 209-214

4) Ott, H. (1926). Z. Krist., 63, 222-230; Ahtee, M. (1969). Annales Academiae Scientiarum Fennicae, Series A6: Physica, 313, 1-11.


2010年12月15日 更新